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PigletBiota研究プロジェクトの紹介

抗生物質の使用を削減した養豚にむけて、子豚の腸内微生物叢を理解する

2016年、豚の微生物叢には770万以上の遺伝子が存在することが解明されました1)。豚の健康と生産成績を考える上で、腸内微生物叢の影響を無視することはできません。特に畜産業界では抗生物質の使用量を減らし、薬剤耐性菌の蔓延を防ぐことが求められており、その重要性は21世紀に入りますます大きくなっています。ラレマンドアニマルニュートリションは微生物生態系とプロバイオティクスの専門家として、長年この問題に取り組んできました。そしてラレマンド社は今、養豚業界の民間企業と共に、フランス国立農業研究所(INRA)が率いる研究プロジェクト『PigletBiota』の一員を担っています。このプロジェクトの目的は、腸内微生物叢の構成が、離乳時の子豚の健常性に与える影響を明らかにして、畜産業界における抗生物質の削減に貢献することです2)

豚における史上初のメタゲノム解析による腸内微生物叢の遺伝子カタログの研究1)は、豚の微生物叢は多くの要因に影響を受ける可能性があることを示しています。例えば、成長促進を目的とする抗生物質の利用が制限されている国の子豚では、依然として利用されている国と比べて、薬剤耐性遺伝子の発現が抑えられていました。離乳は養豚において非常に繊細な時期です。この時期はしばしば摂食量の低下や下痢による増体の悪化が見られますが、その原因には腸内細菌叢の不均衡(ディスバイオシスと呼ばれます)や日和見菌感染による消化系障害が関係しているかもしれません。 この時期は子豚の罹患率や死亡率を抑えるために、予防としての抗生物質の使用も未だ頻繁に行われています。このような背景から、PigletBiota研究プロジェクトでは、INRAや飼料会社、種豚会社の研究者が集まって、微生物叢を含む離乳時の子豚の感受性の生理的および遺伝的基盤情報を研究し、抗生物質を削減した養豚システムを革新的に進歩させることを目的としています。

実際には1000頭以上の豚を用いて、遺伝子型による分類や臨床的な診断、生産成績や免疫、ストレスに関する様々な測定を行います。そして微生物の観点からは、離乳前後の子豚の糞便由来の微生物叢の解析を行います。このようにしてPigletBiotaでは動物の遺伝形質と微生物叢という2つの要因が離乳時の子豚の健常性に与える影響について推測します。本プロジェクトは産官連携に基づくものであり、社会に役立つ研究革新となることが期待されます。

  1. Xiao, L., Estellé, J., Kiilerich, P. et al. (2016). A reference gene catalogue of the pig gut microbiome. Nature Microbiology, 1, 16161.
  2. http://www.agence-nationale-recherche.fr/en/anr-funded-project/?tx_lwmsuivibilan_pi2%5BCODE%5D=ANR-14-CE18-0004