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AQUA2018 魚の免疫と抗酸化バランスを健康に維持する為の、機能性飼料
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魚の免疫と抗酸化バランスを健康に維持する為の、機能性飼料

ラレマンドアニマルニュートリションは、AQUA 2018カンファレンスに於いて、5題の新しい研究を発表しました。このカンファレンスは、 欧州水産組織 (EAS) と 世界水産組織 (WAS)の運営により、2018年8月25日~29日にフランスで開催されました。

機能性飼料は、生産成績の高い養殖を支える最新の魚用飼料の原料として、不可欠な存在となってきています。ラレマンドアニマルニュートリションは今回、魚の健康と生産成績、福祉を守るための機能性飼料について発表を行いました。これら研究では、魚の粘膜や粘液に着目しています。体表粘液は魚の防御ラインとして働くとともに、つねに多くの病原菌に曝され、さらには養殖過程での移動による損傷や化学物質への暴露が問題となる部位です。特別な機能性飼料は、魚の粘膜の物理的、免疫、微生物バリアを健康に保つ上で役立ちます。

 

サーモンの体表粘液バリアを健康に維持する

1つ目の発表では、アトランティックサーモンの免疫反応を解析する、革新的な手法を紹介しました。この手法はイギリスのプリマス大学との提携により開発され、粘膜の反応と細胞性免疫、ストレス、液性免疫に関連する62の遺伝子をターゲットとしたリアルタイムPCRを高速解析することが出来ます1。今後ラレマンド社の機能性飼料による、粘膜段階での免疫調節やシグナル伝達の活性の働きを明らかにしていく上でこの手法が役立つことが期待されます。

サーモンを用いた2つ目の研究発表では、ラレマンド社の単株酵母成分が、体表粘液のバリアと外部寄生虫への感受性を健康に保ち、増体成績を維持または向上させたことが明らかにされました2。この結果は、機能性飼料の給与による、実用的なウオジラミ対策の可能性を示すものとなりました。特に長期間給与を行うことにより、シラミの増殖サイクルに対して蓄積的な効果を及ぼすことが期待されます。

AQUA 2018カンファレンスで発表する、
マシュー カステックス博士 (ラレマンドアニマルニュートリション 研究開発部長)
『新規複数株の酵母の成分の給与が、ニジマス(Oncorhynchus mykiss )の粘膜免疫反応に及ぼす影響』

 

もちろん他の魚種でも!

 

他の魚種においても、複数株の酵母成分の給与試験は行われています。プリマス大学でニジマスを用いて行なった試験では、複数株の酵母成分の給与によって腸管と体表の粘膜バリアを健康に維持する結果が示されました。酵母成分の給与により、体表粘液が30%増加しました。さらに遺伝子発現の解析では、魚の腸管における自然免疫と獲得免疫が多岐に渡ってバランスのとれた反応を呈しました。3
ヨーロッパへダイの稚魚を用いた試験では、複数株の酵母の給与により次のような良い結果が示されました。:
- 体表粘液の量と質 の向上
-
物理的な体の強さに関係がある、一部のムチン遺伝子の発現を適切に維持
-
粘膜段階での、好ましくない微生物に対する健康な防御維持
この研究は、この複数株の酵母成分を感染が問題となる時期や移動時に使用することの利点を明らかにしました。4ラレマンド社の複数株の酵母成分には、下に記すような働きがあることが分かっています。

- 好ましくない微生物を物理的に吸着し排除します
- 免疫を健康に維持します
- 複数の魚種の体表における、粘液の産生を健康に維持します (国際特取得WO2017/005936)

 

抗酸化バランスを適切に保つ

 

最後の発表では、一次段階の抗酸化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)を元々多く含んでいる、自然由来のメロンパルプの濃縮物の試験結果を紹介しました。試験の目的は、この機能性飼料の給与により、サーモンの粘膜組織における抗酸化防御の反応がどう変わるかを明らかにすることです。5

 

アトランティックサーモンでは、ウオジラミとアメーバ性鰓病対策として、過酸化水素(H2O2)への浸漬が一般的に行われています。しかし過酸化水素は、酸化ストレスや、関連する粘膜損傷を引き起こすことが知られている、強力な酸化剤です。SODを豊富に含むメロンパルプ濃縮物を7週間給与することにより、サーモンの体表の内因性のSOD活性が増加し、抗酸化防御能が適切に維持されたことが示されました。さらに一般的な過酸化水への浸漬を行った後、サーモン体表のSOD量は給与区で高くなったことが確認されました。この新しい抗酸化物には、アトランティックサーモンの抗酸化防御を、通常の養殖条件下だけでなく過酸化水素処理に曝された時においても、適切に保つ働きがあると考えられます。

 

AQUA 2018での発表リスト:

1.アトランティックサーモン(Salmo salar )の粘膜組織の反応を、ターゲットの遺伝子の発現を用いて解析するための、高速解析リアルタイムPCRの開発(口頭発表)

Development of a high throughput real-time qPCR assay technique for the targeted gene expression analysis of Atlantic salmon Salmo salar mucosal tissue responses. Nicola Pontefract, Mark Rawling, John Tinsley, Elizabeth Aasum, Mathieu Castex, Daniel Merrifield

2.単株酵母の成分が、アトランティックサーモン(Salmo salar )の体表粘液バリアおよびウオジラミの感受性に及ぼす影響(口頭発表)

Effect of a single-strain yeast fraction on Atlantic salmon Salmo salar skin mucosal barrier and susceptibility to sea lice. Nicola Pontefract Eric Leclercq, Mark Rawling, Victoria Valdenegro, Mathieu Castex, Daniel Merrifield

3.新規複数株の酵母の成分の給与が、ニジマス(Oncorhynchus mykiss )の粘膜免疫反応に及ぼす影響(口頭発表)

The effects of feeding a novel multi-strains yeast fraction on the mucosal immune responses of rainbow trout Oncorhynchus mykiss. Mark Rawling, Eric Leclercq, Andrew Foey, Daniel Merrifield, Mathieu Castex

4.新規複数株の酵母の成分の給与が、ヨーロッパへダイ(Sparus aurata )の稚魚の、粘膜免疫反応に及ぼす影響(ポスター発表)

The effects of feeding a novel multi-strains yeast fraction on the mucosal responses of juvenile gilthead Seabream Sparus aurata. Mark Rawling, Arkadios Dimitroglou, Eric Leclercq, Daniel Merrifield, Dimitri Barkas, Mathieu Castex

5.スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)を豊富に含むメロンパルプ濃縮物を飼料給与されたアトランティックサーモン(Salmo salar )の体表内における、スーパーオキシドディスムターゼの発現刺激(ポスター発表)

Stimulation of superoxide dismutase expression in the skin of Atlantic salmon Salmo salar receiving a SOD-rich melon pulp concentrate dietary supplement. Florence Barbé, Eric Leclercq, Julie Carillon, Kiron Viswanath, Mathieu Castex

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