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酸化ストレスの管理による家畜の繁殖と生産成績の改善

酸化ストレスの管理による家畜の繁殖と生産成績の改善

ラレマンドバイオテック株式会社は、2024年5月28日(火)に東京都にて牛・豚・鶏の酸化ストレスに関するセミナーを開催しました。当日は雨にも関わらず約50名の方々にご参加いただき、深く感謝申し上げます。

招待講演者である岡山大学の河野光平助教は、暑熱負荷は抗酸化物質である還元型グルタチオン量の枯渇を通じて、牛の排卵前の卵胞の発育と発生能を損なわせることを報告しました1。受胎率の低下は、暑い夏の間だけでなく涼しくなった秋にまで続くことが知られています。この回復の遅れの原因の一つとして、発育過程の卵胞が夏季に受けるダメージの存在が示唆されました。

続いてラレマンドバイオテック株式会社の営業部テクニカルサポートマネージャーである今林雅子より、酸化ストレスが豚の繁殖成績に及ぼす影響についての発表がありました。新生子豚の品質と一腹内子豚の体重の斉一性を高めるためには、離乳後から交配までの母豚の抗酸化能を適切に保つことが重要です。この期間に酸化ストレスが卵胞に悪影響を及ぼすと、産子数の低下や未熟な子豚(IUGR:子宮内胎子発育遅延)の発生につながります。この期間の母豚に4~8日間アルコセル、メロフィード、ビタミンなどの抗酸化物質を含むサプリメント(バイオパック リターアップ)を給与することで、総産子数が増加し、生時体重1 kg未満の小さな子豚の割合が減少することが、複数の試験で示されました(下図)。

最後のパートでは、ラレマンドアニマルニュートリションの酵母派生物および抗酸化物質の製品マネージャーであるサイビ リサが発表を行いました。反芻動物・豚・鶏の繁殖と生産成績を向上させるための抗酸化物質の給与について紹介し、特にセレン含有酵母の品質の重要性を強調しました。 市場にはたくさんのセレン含有酵母製品が存在します。しかし動物が効率よくセレンを吸収・利用するためには、セレン含有酵母の表層に製造時の糖が残留していないこと、完全に不活化(死菌化)されていることが不可欠であり、品質に留意が必要です。

畜種をまたいで行われた本セミナーは、参加者から良いフィードバックをいただくことができました。開催にあたりご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
ラレマンドバイオテック株式会社は、今後も皆様に役立つ情報をご提供してまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

<参考文献>

  1. Kawano, K., Sakaguchi, K., Madalitso, C. et al. Effect of heat exposure on the growth and developmental competence of bovine oocytes derived from early antral follicles. Sci Rep 12, 8857 (2022). https://doi.org/10.1038/s41598-022-12785-2

投稿日 Jun 3, 2024 | 最終更新日 Jul 8, 2024

アルコセルメロフィードリターアップ