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夏の肥育豚には暑熱ストレス対策が必要です!
2o℃を超えると、肥育豚の増体は停滞し始めます
肥育豚の体温調節能力は、生来限られています。豚は機能的な汗腺を持っておらず、主たる熱の発散方法は、呼吸数を増加させることによる蒸散です。肥育豚の適温域は14~20℃と考えられています。そして現代の遺伝形質を持つ豚は、以前よりもより多くの熱を産生します。なぜなら動物の増体成績が向上するにつれ、豚はより多くの熱を産生し、外環境の熱に対する耐性が低下するためです。肥育豚が暑熱ストレスを受けた場合、増体率が顕著に低下してしまいます。
一般的に、豚は次の2つの方法で暑熱に対抗します。:
- 放散熱量の増加:床に寝そべり、体表面の接地面積を増やします。また浅く速い呼吸を促し、肺における水分蒸発量を増加させます。
- 熱産生量の抑制: 摂食、消化および栄養の吸収を含む、全ての代謝過程で熱が発生します。それゆえに豚は、飼料摂取量を抑えることで、産熱量を減らそうとします(図 1)。体重が50kgを越えた豚では、環境温度が20℃以上になると、飼料摂取量の低下が始まります。
図1. 環境温度が、育成~肥育豚の代謝エネルギー摂取量に及
ぼす影響(Labussiere et al., 2016)
肥育豚の暑熱ストレス対策に有効な、プロバイオティクス
プロバイオティクス酵母であるサッカロマイセス セルビシエ 変種 ブラディアイ CNCM I-1079(レブセルSB)には、豚の腸内マイクロバイオータ(細菌群集)のバランスを向上させ、健康で丈夫な腸管と、自然免疫を維持する働きがあります。フランス国立農学研究所(INRA)にて代謝チャンバーを用いて行った試験では、生菌酵母の飼料添加が、肥育豚の暑熱ストレスへの適応を促したことが明らかになりました。具体的には、生菌酵母によって、暑熱ストレスによる摂食行動と増体成績への負の影響が緩和されました(図2、図3)。
図2. 1日のうちで摂食に費やす時間
(最初の1週目は、暑熱ストレスのない熱的中性環境、残りの2週間は室温を常時28˚Cにして暑熱ストレス条件で飼養しました。グラフでは、各週毎の平均値を示しています。)
図3. 試験期間中の肥育豚の体重の変化(灰色:無添加区、青色:レブセルSB区)
生菌酵母の給与によって肥育豚のエネルギー利用が向上した理由は、酵母の代謝によって後腸内の酸素が消費され、腸内発酵環境が向上したためと考えられます。暑熱環境下であっても、生きた酵母によって安定した摂食時間と飼料摂取量が保たれ、結果として無添加の豚よりも蓄積エネルギーが多くなりました。
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投稿日 Jul 15, 2021 | 最終更新日 Jul 24, 2024