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鶏群の生産成績を最適化するツールとしての競合排除

鶏群の生産成績を最適化するツールとしての競合排除

ラレマンドバイオテック株式会社は2023年9月26日(火)に、家禽のマイクロバイオータ(微生物群集)に関する第一人者であるイヴァン リィフリク博士を招待し、「養鶏における競合排除(CE)の活用」に関するウェブセミナーを開催いたしました。たくさんの方にご参加頂き、深く感謝申し上げます。招待講演に関し、質疑応答と講演動画を公開いたします。

招待講演:鶏群の生産成績を最適化するツールとしての競合排除

講演者:イヴァン リィフリク博士/Dr. Ivan Rychlik
    チェコ共和国獣医学研究所 サルモネラグループ長 兼   
    ブルノ獣医科薬科大学の准教授

<質疑応答>

Q. 腸球菌について教えて下さい。

A. 腸球菌は鶏を含むあらゆる動物に存在します。雛の腸内マイクロバイオータ(微生物群集)内にも一般的に見られますが、占有率は高くありません。しかし孵化後の特に最初の1週間において、腸内マイクロバイオータの10%から15%を腸球菌が占めることがあります。腸球菌対策が最も重要な時期は、孵化から最初の1週間でしょう。

腸球菌感染に効果があった対策としては、孵化から3日以内までに抗生物質の混合物(リンコマイシンおよびスペクチノマイシン)を投与することです。しかし養鶏において抗生物質を雛に使うことは、必ずしも推奨されません。ラレマンド社のCE製品アヴィガードは、腸球菌の早期感染に対する抵抗性の維持につながることが考えられます。早期段階で成鶏由来の正しい腸内マイクロバイオータを形成することは、腸球菌の感染増殖の抑制につながるでしょう。

腸球菌感染症の臨床兆候が現れやすい時期として、暑熱ストレス時期が挙げられます。特に暑い夏場には、衛生管理に気をつけると良いでしょう。仮説ではありますが、腸球菌感染は、新しい近代的な鶏舎で起こりやすいのではないかと考えます。古い鶏舎には、清掃消毒を行ったとしても、前にいた鶏の良いマイクロバイオータが残っており、それが働いていると考えられます。

Q. 乳酸菌はCE材として期待できますか?

A. 乳酸菌のCE材としての働きには、批判的です。乳酸菌として良く用いられるラクトバチルス属は、食物あるいは飼料中で素晴らしい活動をします。ラクトバチルス属は食物や飼料中で発酵し、pHを下げます。pHが下がった環境では、他の細菌が生存することはできません。キャベツの漬物やヨーグルトが分かりやすいと思います。サルモネラなどが存在し得ない低pH環境が作られ、非常に安全な食品になります。ラクトバチルス属がサルモネラや大腸菌に対して有効であるためには、飼料中に同時に存在している必要があります。ラクトバチルス属を単独で例えば雛の飲水に入れても、雛の腸内には定着しません。ラクトバチルス属は、継続的に繰り返し摂取する必要があります。

アヴィガードのように、成鶏由来の自然な腸内マイクロバイオータの方が、単体で純粋培養したラクトバチルス属よりも自然で効果的なCE材と考えます。

Q. アヴィガードの使用方法について: 孵化場での噴霧が難しい場合、飲水経由よりも餌付け飼料への混和がおすすめですか?

A. チェコでは、床に紙を敷いて餌づけ飼料を置き、その上に雛を置くのが一般的です。もし日本でも同じようなことが行われているのであれば、私は飲水よりも餌づけ飼料に混和することをおすすめします。アヴィガードを水に混ぜ、その液体を餌づけ飼料に混ぜ、湿った餌づけ飼料を作ることができます。湿った餌づけ飼料は、雛を入れる約30分前に手作業で撒きます。下の写真のように、湿った餌づけ飼料には即座に雛が群がり効果があります。餌づけ飼料を置く紙について、24時間後には鶏によって紙が傷つけられ、その表面にカビが増殖するので注意が必要です。農場導入1日後に、これらの紙片は手作業で床から回収し、廃棄してください。直接比較したことはありませんが、私は飲料水経由の投与よりもこの方法を好みます。

飲水に混和する場合、製品は希釈されるとともに、塩素や酸素にさらされ、不活性化されてしまうためです。しかし雛への投与は早ければ早いほど良いので、孵化場での早期投与がおすすめです。農場での投与は、孵化場での投与が何らかの理由で不可能な場合にのみおすすめです。

※抗生物質が含まれている餌づけ飼料には、混和はおすすめできません。

Q. 鶏のカンピロバクター汚染に有効な対策はありますか?

A. 現時点では、鶏のカンピロバクターの存在量を減少させる有効な手段は分かりません。しかし進行中の研究によると、雛の時点で盲腸の粘膜に微生物が定着していると、カンピロバクターが定着しにくいことが分かっています。将来的には粘膜細菌をCE材として商品化することも考えていますが、粘膜細菌は増殖が悪く、現在は20羽の雛に接種できるように準備するのがやっとです。スケールアップはかなり困難になりそうです。

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投稿日 Jan 23, 2024 | 最終更新日 Mar 28, 2024

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