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メロン抽出物の給与は、乳用ヤギの暑熱ストレスへの適応と乳質に貢献
ラレマンドアニマルニュートリションは、2023年3月6日~10日にスペインで開催された 第10回国際羊獣医学会(10th International Sheep Veterinary Congres:ISVC) に参加しました。そして、暑熱ストレス下への乳用ヤギに、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)を豊富に含むメロン抽出物(メロフィード)を給与した時の影響について報告しました。1この抗酸化物質の給与は、乳量と適切な乳中体細胞数の維持に良い影響をもたらしました。同様の影響は、既に乳牛でも報告されています。
暑熱ストレスは、反芻動物の福祉と乳量に大きな影響を及ぼします。乳用ヤギでは、温湿度指数(THI)が70にまで上昇すると、 乳量が最大で10%低下すると言われています(Salama et al., 2014)。暑熱ストレスと動物の抗酸化状態には大きな相関関係があるため、暑熱期などのストレス時には、抗酸化物質を補助給与することがすすめられます。
暑熱ストレス下の乳用ヤギへのメロフィードの給与
本学会にて報告された試験は、2021年の6月中旬~9月中旬に、スペインのエルチェ・ミゲル・エルナンデス大学にて48頭の乳用ヤギを用いて実施されました。試験期間中の最大THIは90に達するほどの暑熱ストレス環境でした。
メロフィードを摂取した暑熱ストレス下の乳用ヤギには、次のような良い影響が見られました。:
- 乳量減少の抑制 (図 1左)
(期間中の1日あたりの乳量損失量:対照区0.82 kg vs. メロフィード区0.39 kg, p < 0.1) - 適切な体細胞数の維持 (図 1右)
(期間中の平均体細胞数:対照区34万個/mL vs. メロフィード区28万個/mL)
図 1: 暑熱ストレス下の乳用ヤギへのメロフィードの給与が乳量と乳中体細胞数に及ぼす影響
- 直腸温度の低下 (図2)
ヤギの全身において、過剰な炎症のない健康な状態が保たれていたことを意味します。
図 2: 暑熱ストレス下の乳用ヤギへのメロフィードの給与が期間全体の平均直腸温度に及ぼす影響
メロフィードを給与された乳用ヤギでは、残飼料も数値的に少なくなりました (-14%) 。これらはメロフィードの給与によって、動物の福祉を適切に保つことができたことを示しています。
メロフィードの作用機序
これらの良い影響は、暑熱ストレスに対する動物の適切な抵抗性が保たれたためと考えられます。実際にメロフィードを給与された乳用ヤギの試験期間全体の酸化状態(TOS)は、無添加のヤギよりも有意に低くなっていました (-1.5; P<0.01)。この影響は赤血球の溶血スコアにも反映され、中~高レベルの溶血スコアを示す赤血球の割合が低下傾向を示しました(-22%;P=0.08)(図3)。これはメロフィードの給与によって、細胞レベルで適切な抗酸化状態を維持できたことを示しています。
図 3: 暑熱ストレス下の乳用ヤギへのメロフィードの給与が赤血球の溶血スコアに及ぼす影響
まとめとして、暑熱ストレス下の乳用ヤギへのメロフィードの給与は、動物の抗酸化状態を適切に保つことによって、乳量の低下の抑制と、適切な乳中体細胞数(SCC)の維持に貢献しました。この好ましい結果は、農場の収益改善にも良い影響を与えました。
メロフィードについて詳しい情報を知りたい場合は
こちらをご覧ください
投稿日 Dec 4, 2023 | 最終更新日 Sep 26, 2024